2011年7月20日 (水)

「強くなくては生きていけない、優しくなくては生きている資格がない」

タイトルの言葉は、レイモンド・チャンドラーのハードボイル小説の主人公、探偵のフィリップ・マーロウの有名な台詞だ。

昨日、俳優原田芳雄の訃報を知り少なからずショックを受けている。というのは芸能界で実力のある役者は少なからずいると思うが、ファンになったのは原田芳雄しか思い当たらないからだ。

私の彼にたいするイメージは、まさにフィリップ・マーロウの台詞のようだ。それは多分私だけではなく彼のファンも同じように感じているのではないだろうか。決して上手い役者ではない、どんな役をやっても”原田芳雄”になってしまう。しかしその存在感がとてもカッコイイのだ。私の青春時代(ちょっと気恥ずかしい)の憧れの人だった。

彼の中年以降の作品はあまり観ていないが、ひそかにファンであったことは今回の訃報で改めて知った。それ故残念でならない。見逃した作品を改めて観たいと思う。ご冥福を心からお祈りします。

                                             合掌

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2008年10月 1日 (水)

メメント・モリ 映画「おくりびと」

日頃、<死>について考えることは少ないと思うが、生きているということは紛れもなく死がそこにあるということだ。つまり死を思うことは同じに生を思うことだ。現代社会は、死は軽いものになり、当然のごとく生もまた軽いものになってしまったようだ。

そのような時代にあって「おくりびと」が上映される意味は大きい。滝田洋二郎監督、本木雅弘主演のこの映画は(モントリオール世界映画祭グランプリ受賞)昨今の大袈裟な身振りではなく、淡々としたなかに優しさと温かさを湛えた秀逸な映画であった。映画には、観たい映画と観るべき映画がある。「おくりびと」は後者にあたる。なかなか足が向きにくいが、観ておいて良かったと思わせる内容だ。私など三度も涙してしまった。しかしこの涙は「泣けます!」などのうたい文句のような安っぽいものではない、どこか厳粛で清々しさもある。

人が生きていること、そして死ぬことを今一度考えさせてくれる、温かくも哲学的映画なのだ。人は誰でもいつかはおくりびと、おくられびとだから観ておくといいよ!

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